カウンセリングで大事なこと
心療内科を訪れる患者は、心の中に何らかの葛藤を抱えていることが多いです。しかし看護師がその葛藤をいきなり聞き出そうとすると、患者は逆に心を閉ざしてしまう傾向があります。心療内科に勤務する看護師は、患者と対話する際にどのようなことを心がければいいのでしょうか。
まずは途中で口を挟まずに黙って話を聞くことです。本来であれば言葉のやり取りがあるはずの会話ですが、相手に黙って聞いてもらうことで患者は日常生活から離れられたような感覚を味わえるのです。
そして患者が自分のことを自由に語り始めたら、看護師はその内容に対して共感を示します。黙って聞いてもらえたあとに共感が得られたことで患者の心には、どんなことを話してもこの看護師は許容してくれる、という安心感が芽生えるのです。
安心感が芽生え、患者の感情表現が豊かになり始めたら、看護師のほうから口を挟んでも構いません。患者が話したエピソードに対して、どのような気持ちになったのかを質問していきましょう。質問されることで患者のほうはいくつかの感情が結びつき、深い納得感が得られるようになります。いわゆる、腑に落ちるという感覚のことですが、患者がこの腑に落ちる感覚を味わったときが、葛藤を聞き出すタイミングになります。深い納得感が得られた瞬間は、悩みの源になっている心の葛藤と向き合いやすいのです。
心に葛藤を抱えている人は、自分自身のエピソードを自由に語ることによって、迷いがなくなる傾向があります。心療内科を訪れた患者の葛藤を解消できるかどうかは、聞き手である医師や看護師の対話力にかかっているのです。